初めてのロストバゲージ

手荷物が紛失したり、どこかへ行ってしまったり、別の場所へ送られていたりという、飛行機の手荷物に関するトラブルは海外旅行には少なからずつきものです。まだ、出て来ればいいですが、たまに出てこない時もありとても嫌な気持ちになります。

着替え等を、機内持ち込みしたりはしないと思いますが、身の回りの荷物には最低限必要なものを常時入れておく予防策はしてもいいのかもしれません。

ヴェネツィアへ単身旅行

私は海外旅行が好きな３４歳の女性です。

海外旅行で初めて、このような出来事に遭ったのは、今から二年前のことです。息抜きと気分転換を兼ねて、イタリアに単身旅行に出かけました。それまで、私は海外旅行には慣れていて、そのほとんどが一人旅でした。

航空会社やホテルにも強いこだわりがあり、旅の手配はいつも全て自分で行っています。そのため旅行会社などのパッケージツアーも利用しません。その時は、羽田発の直行便でパリへ向かいました。その後、その航空会社と提携している、別の航空会社の便で、パリからイタリアのヴェネツィアのフライトに乗り継ぎました。

それまで、パリでの乗り継ぎは何度も経験していたため、何も不安を感じることもなく、ヴェネツィアに到着しました。フライトの都合上、ヴェネツィアに着いたのは、もうすぐ日付が変わる深夜でした。深夜着だったことがあり、ホテルは空港のすぐ近くのホテルを予約していました。チェックインの時間に間に合うかどうかが少し不安ではありました。

なかなか出てこ無い私の荷物

ヴェネツィア空港はとても小さい空港であり、荷物が運ばれてくる空港のターンテーブルも数個しかありませんでした。深夜ということもあり、到着便も非常に少なかったことを覚えています。

フライト番号を確認し、ターンテーブルの前で荷物を待ちました。深夜であったのと、小さな空港であったためか、荷物はとても早く出始めました。しかし、いくら待っても私の荷物は出てきませんでした。

私は海外旅行は大好きですが、言葉が堪能ではありません。そのため、すぐに空港の職員に尋ねることも出来ずに、ひたすら待ちました。そしてとうとう、私の便の荷物は出てこないままで、次の到着便の荷物がターンテーブルを回り出したため、空港のロストバゲージカウンターに行きました。

そこには五人ほどが並んでいて、一人あたり３０分ほどの時間を要してました。ホテルのチェックインの最終時間が近くなっていたため不安になりました。やっと自分の番になり、言葉が堪能ではない私はそれでも、ロストバゲージをしたことを伝えました。

生憎、私の旅の行程はその日だけヴェネツィアに泊まり、翌日にフィレンツェへと旅立つことになっていました。ロストバゲージをした場合には、すぐに荷物が見つかればホテルに届けてもらえることになっています。そのため、翌日にはフィレンツェに旅立つことを伝え、そこのホテルに数日間滞在することとホテル名を何とか伝えました。

何もない中で過ごした三日間

よく分からない英語の説明書きとロストバゲージをした人へ配られているアメニティーを受け取り、その日は予定通りヴェネツィアのホテルへと泊まりました。日本からイタリアに旅に来たのにハンドバッグ一つでホテルに泊まるのはとても辛かったです。

翌日はフィレンツェへと旅立ちました。航空会社にはロストバゲージ専用のサイトがあり、そこで自分の荷物を検索することができました。そこで何度も検索をした結果、私の荷物はローマへ到着していることが分かりました。それが分かったのは翌日のことだったと思います。

そこからホテル到着までが非常に長く、三日ぐらい何もない状態で過ごしました。日本とは違い、海外はそういう面でルーズであることは知っていたので我慢しました。フィレンツェのホテルにはチェックインの際にそのことを伝えていたので、1日に何度も何度もフロントに行き、荷物が到着しているかどうかの確認をしました。

それから三日ほど経った頃でしょうか。外出から一旦ホテルに戻った際にフロントに荷物の確認をしました。

「ピンクのスーツケースなら届いていますよ、こちらですか？」

と聞かれました。私のスーツケースには大きな特徴があったために見た瞬間に私のものであると分かりました。言葉が堪能ではない私でもあまりの嬉しさに

「It's mine！！」

と歓喜をあげてしました。

知らない街での女性の一人旅で手ぶらで過ごした数日間は本当に辛かったです。しかし、言葉が堪能でないにも関わらず、異国の地でも精一杯伝えたら何事も解決できるのだと知った旅でありました。

なぜ私の荷物がローマに到着したのかは分かりません。他社の航空会社を利用して乗り継ぎをしたために、何らかのミスが生じたのかもしれません。海外旅行ではよくあるトラブルなので、仕方のないことなのかもしれません。その時は何とか解決しましたが、ロストバゲージは旅を楽しめないのでもう経験したくないと思いました。

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