出張中でも、現地文化を感じるために、博物館や美術館を訪れることはよくあります。
これを見たい!と目掛けて行って、その目標とするものが無いというのはなんとも諦めきれません。ましてや、それに高いお金を払っていたらなおのこと。
諦めきれない。。。そんなお話です。
モネのかささぎを見てみたい
私は34歳、金融業で働いています。
母親が「死ぬまでに本場で見てみたい。モネのかささぎ。」と言い出しました。
画家クロード・モネが描いた一枚の雪の絵のこと。どこにあるのか調べてみると、パリのオルセー美術館。遠い。
思っていたより遠いし高い。
ならばとがむしゃらに貯蓄をし、二人分の旅費を貯め、そしてパリへ!
奮発をして、セーヌ川沿いの素敵なアパートを滞在には選択しました。
母親に行きたいところを事前にリサーチをし、まずは1日目、ツアーを組みロワール古城ツアーに行きました。バスで片道3時間。
2日目はエトルタという「かささぎ」が描かれた海沿いの街へ。絶景でおすすめ。電車とバスで片道3時間。
3日目はモネの庭で有名なジヴェルニーへ。片道2時間。
4日目は、そうです、とうとう運命の日、念願のオルセー美術館へ行くことに!
貸出中だったお目当ての絵
さて、お目当てのフロアを地図で確認。ん?地図に「かささぎ(la pie)」という題名が無い…?
何故だろう。そう思い館内のスタッフへ聴いてみることにしました。そして、そこには衝撃の事実が待っていました。
なんと今は貸し出し中とのこと!
え?え?どこに?どこに貸し出ししてるって?とおろおろと私は拙いフランス語で確認しました。
そして、それは「イタリアの美術館に」あることがわかりました。
イタリア!!これはもう駄目だと涙目で私は母へ報告しました。母はいいよ仕方がないよと私を慰めてくれる始末。ああ、リサーチしておけば良かった。とその時は非常に後悔をしました。
このオルセー美術館の、かささぎを観る為だけにフランスまで来たというのに…。
その日はせっかくなのでオルセー美術館を楽しみ、ホテルへ。
その夜、駄目もとで、イタリアのどこの美術館だろうかと、WEBで調べてみました。
それはトリノという都市の市立近代現代美術館(GAM)という小さな美術館でした。
「トリノへはパリから行けるのだろうか」
と思い調べたところ、
おっ!!パリ→トリノ(ミラノ行き)TGVというヨーロッパ鉄道が直通で走っているではありませんか!!
しかもトリノ・ポルタ・スーザ駅下車で、徒歩15分で美術館へ行けるとのこと。
TGV運行所要時間は6時間半!よく考えてみました。
6:00出発で12:30到着。17:30トリノ出発で翌日24:00にはパリに戻れる。
現地滞在はわずか5時間でしたが、でも、できないことはないスケジュールだと思いました。
行くか?諦めるか?!
母親におそるおそる(まあないだろうと思いながらも)聞いてみると…
二つ返事で「行くのだ」と言うではないですか!
「行くんかい!」
そこからの私は凄かったです。まずTGVの席確保へ。TGVサイトを見ると1等と2等があり、2等の方が安いが席は満席の為1等を往復で購入しました。
国境を越えるとなると、何が必要だろうかと調べる。なんとパスポートがあるだけで良いようでした。
そうして、いざ5日目になり、ドキドキしながらパリ・リヨン駅へ向かいました。
着いてみるとリヨン駅の広いこと。ここはなんとホール1、2、3とコンコースがわかれていて、まずはそこを確認しないとぎりぎりに走るはめになります。
何故ならパリでは長距離列車の出発ホームが約10分前に決定するからです。
出発はホール2と確認し、掲示板の前でミラノ行きホームが表示されるのをじっと待ちました。表示されたとたん、すぐさまホームへ向かいました。
本当はパリではチケットに必ず印字が必要でしないと罰金が徴収されるますが、プリントアウトしたチケットには印字不可の為必要ないとのことでした。
さあ、いよいよ列車に乗っていざイタリアへ!
ホームでもまだ試練が待っていました。
自分のチケットの号車番号にきちんと乗車しておかないと、分岐する列車だと中央で分割されており車内で車両移動ができない場合があるからです。
6時間半、まるで「世界の車窓から」の広大な田園風景に唖然とする私たち。
頑張ってよかった。途中ではスイスのアルプス山脈まで見ることができました。
TGVの車内では食事も購入することができましたし、トイレも完備してありました。
事前に調べておいたTGV時刻表で母と私は1駅1駅確認しながら到着駅を待ちました。
やっと辿り着いた美術館
トリノ・ポルタ・スーザ駅で降りてからは、「はっ!イタリア語か」と思いましたが、わから無いものは仕方ありません。少々、戸惑いましたが、そこはもうgoogle地図のナビ機能に美術館まで道案内をお願いし無事に美術館へ到着しました。
そしてそこには輝かんばかりの雪景色をたたえたあの、「かささぎ」が待っていたのでした…。
ここまでとても長く感じました…。
振り返ると、1日目からこの日までずっと長距離観光ばかりで、パリなのに、パリを堪能していない。。。
せっかくセーヌ川沿いのパリらしいアパートを予約したというのに。
でも、母のこの笑顔を見れたのだから、ここはこれで満足しました。
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